家賃は勝手に上げられない?不動産オーナーが知っておくべき賃料値上げの落とし穴と正しい対処法

この記事のハイライト

 

● 家賃は「オーナーの都合だけ」では自由に上げられない。借地借家法による借主保護のルールがある

● 賃料値上げには正当な理由と適切な手順が必要で、無視すると泥沼のトラブルに発展するケースも

● 管理の手間やトラブルリスクを感じたら、売却という選択肢も有効。プロへの相談が解決の近道

 

「そろそろ家賃を上げたい」「相場が上がっているのに、うちの物件だけ据え置きのまま」――そんなお悩みを抱えるオーナーさんは少なくありません。しかし不動産賃貸において、家賃はオーナーが自由に決めて良いわけではないということをご存知でしょうか?

日本では借主(入居者)を守るための法律「借地借家法」があり、一度契約した家賃を勝手に引き上げることは原則として認められていません。知らずに家賃値上げを進めてしまうと、入居者とのトラブルや最悪の場合は裁判にまで発展することがあります。

この記事では、不動産投資家や相続した物件を持つオーナーが押さえておくべき「賃料値上げの基本ルール」と「よくあるトラブルのパターン」を分かりやすく解説します。売却を検討されている方にとっても役立つ情報ですので、ぜひ最後までお読みください。

そもそも家賃は「自由に上げられない」の?法律の基本を知ろう

借地借家法が借主を強力に保護している

日本の賃貸借契約は「借地借家法」によって借主側が強く守られています。この法律のポイントは、借主が合意しない限り、オーナーは一方的に家賃を上げることができないという点です。

たとえば「近隣の家賃相場が上がったから」「固定資産税が上がったから」という理由だけでは、法律上の「賃料増額請求」の根拠として認められるとは限りません。オーナーが値上げを通知しても、入居者が「納得できない」と拒否すれば、その時点では値上げは成立しないのです。

賃料増額請求ができる条件とは?

借地借家法第32条では、以下のような場合に限り「賃料の増額を請求できる」と定められています。

  • 土地や建物に関する税金(固定資産税など)が増額したとき
  • 土地・建物の価格が上昇するなど経済情勢が大きく変化したとき
  • 近隣の家賃相場と比べて現在の賃料が不相当に低くなったとき

ただし、これらの条件を満たしていても、増額を「請求できる」というだけで、入居者が自動的に応じる義務があるわけではありません。入居者が納得しなければ、調停・裁判といった手続きが必要になります。

「定期借家契約」なら柔軟に対応しやすい場合も

通常の賃貸借契約(普通借家契約)と異なり、「定期借家契約」では契約期間満了時に更新をせず、あらためて新たな条件で契約を結び直すことが可能です。このため、次の契約時に家賃を見直すことがスムーズにできる場合があります。ただし、既存の入居者をそのまま定期借家に切り替えることは原則できないため、注意が必要です。

賃料値上げでよくあるトラブルパターンと注意点

「口頭で伝えただけ」は危険なトラブルの元

賃料値上げを検討するオーナーがまず陥りがちなのが、「口頭で値上げを伝えて終わり」というパターンです。

後になって「言った・言わない」の問題になることが非常に多く、証拠が残らない口頭のやり取りでは法的なトラブルに発展したときに圧倒的に不利になります。値上げ交渉は必ず書面で行い、交渉経緯を記録しておくことが鉄則です。

入居者が「差額」のみを払い続けるケース

賃料増額を請求したものの入居者が合意しない場合、入居者は「相当と認める額」、つまり従来の家賃を支払い続けることが法律上認められています(借地借家法第32条第2項)。

この状態が続くと、オーナー側としては「未払いなのか、そうでないのか」が曖昧になりがちです。最終的に増額が認められた場合には不足分+年1割の利息を支払う義務が生じますが、それまでの期間はグレーゾーンが続くことになります。こうした状況が長引くと、精神的にも管理コスト的にも大きな負担になります。

「不増額特約」が契約書に入っている場合は要注意

契約書の中に「〇年間は賃料を増額しない」という「不増額特約」が含まれている場合、その期間中は原則として賃料増額を請求することができません。

相続などで物件を引き継いだ方は特に、既存の契約書の内容を必ず確認するようにしましょう。思わぬ特約が含まれていて「値上げできない」という状況になっているケースも珍しくありません。

トラブルを避けるための正しい賃料値上げの進め方

ステップ①:相場調査と根拠資料の準備

まずは値上げをお願いするための「根拠」を丁寧に準備することが大切です。近隣の類似物件の家賃相場データや、固定資産税の通知書など、客観的な資料を揃えましょう。

根拠なく「上げたいから上げる」では入居者も納得しません。「なぜ値上げが必要なのか」を入居者が理解できるように丁寧に説明する姿勢が、スムーズな交渉の第一歩です。

ステップ②:書面による通知と交渉記録の保管

値上げの通知は内容証明郵便など、証拠が残る形で行うのがベストです。また、入居者との交渉内容はメモや書面で記録を残しておきましょう。

  • 値上げ通知書(増額の理由・新賃料・適用開始希望日を明記)
  • 交渉経緯のメモまたはメール記録
  • 入居者の回答(合意・不合意の確認)

ステップ③:合意に至らない場合は調停・専門家に相談

話し合いで解決できない場合は、裁判所の「賃料増減額調停」を利用する方法があります。調停は裁判よりも手続きが簡易で、費用も比較的安く抑えられます。

ただし、こうした手続きは時間も労力もかかります。不動産に詳しい弁護士や管理会社に早めに相談することで、トラブルの長期化を防ぐことができます。

管理が負担になってきたら「売却」という選択肢も検討しよう

賃料トラブルは「売り時」のサインかもしれない

賃料値上げ交渉、入居者とのトラブル、修繕費の増加……。こうした問題が重なってくると、「もう管理を続けるのが辛い」と感じるオーナーさんも増えてきます。

特に、相続で引き継いだアパートや実家の一室を賃貸に出しているケースでは、そもそも管理の知識や経験がないまま対応しなければならないことも多く、精神的な負担は想像以上です。

「管理の手間とリスクを手放して、まとまった現金を得る」という観点で、売却を選択することは決して「逃げ」ではなく、賢明な資産運用の判断といえます。

入居者がいる状態でも売却できる「オーナーチェンジ」

入居者がいるからといって売却できないわけではありません。「オーナーチェンジ」という方法で、入居者がいる状態のまま物件を売却することが可能です。

オーナーチェンジ物件は、すでに家賃収入が見込める状態として投資家に売却できるため、空室よりも買い手がつきやすい場合があります。賃料トラブルを抱えたまま売却を検討するのは難しいこともありますが、まずは専門家に現状を相談してみることが大切です。

早めの相談が「損をしない売却」につながる

売却のタイミングが遅れるほど、建物の老朽化や修繕費用の増加、空室リスクなどが重なり、物件の価値が下がっていく可能性があります。

「まだ売ると決めていない」という段階でも、一度査定を受けて現在の物件価値を把握しておくことはとても重要です。地域の不動産事情に詳しい専門家に相談することで、最適なタイミングや方法が見えてきます。

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参考:https://www.kenbiya.com/ar/ns/jiji/legal_knowledge/9934.html